調査データから、配属決定時期の変化やそれに対する学生の意識、企業の取組状況などをまとめました。また、新入社員のキャリア不安を解消する初任配属の在り方について、企業の配属方針が学生のキャリア自律にどのように影響するかに関する分析をもとに解説しています。
サマリ
配属決定時期の変化
- 卒業年度6月中旬時点で就職予定先企業について「応募時に、配属先が確定していた」と回答した学生の割合は、2024年卒が12.9%だったのに対し、2025年卒では19.7%であった。
- 配属先が確定した時期を「入社を決める前までに確定・計」で見ると、2024年卒で27.1%、2025年卒で37.3%と、配属確約での応募や入社を決める前に配属先が確定する学生の割合が増加傾向にある。
- 就職先を決める前に配属先が確約されていた方が良いかを卒業年度6月中旬時点で聴取したデータによれば、「確約されている方が良い・計」は2025年卒でおよそ85%と、2024年卒に比べ約4ポイント増加している。ただし、「確約されている方が良い」と考える学生全てが、自ら配属先を選び応募したいと考えているわけではない。配属先について明示してほしい時期について聞くと、2025年卒の「入社を決める前まで・計」は78.3%だが、「配属確約での応募」は18.4%にとどまっている。
- キャリア形成に対する意識の高まりは、不確実性に対する不安と表裏一体の関係にあり、その不安を解消するために、例えば配属先をできるだけ早いタイミングで知りたいと考える傾向が強まっていることがわかる。
- 新入社員への配属先伝達時期として、「募集時(配属確約での募集)」を選択した企業の割合は20.0%(複数回答)で、一部の企業では配属を募集時に確約する動きが見られる。
- 採用充足のための手段としての配属確約ではなく、学生の不安を解消し、企業と学生双方にとって有益となるような配属の在り方を考える必要がある。
- キャリア不安の解消は、個人の努力だけで達成できるものではなく、企業と個人のコミュニケーションが不可欠である。企業が従来の一方的な配属方針から脱却し、学生の成長や能力開発、希望を尊重することは、自身の価値観や目標、適性への理解が深い学生を引きつけたり、新入社員のキャリア自律を促進したりする効果があると考えられる。
- 企業は、まず選考や内定者フォローのタイミングで学生の希望や適性に関する情報を収集できるようなコミュニケーションをとり、職場環境や業務の実態、学生自身では判断しにくい適性などを踏まえた上で、新入社員が入社後に活躍できるような配属を検討することが重要である。そして、単なる人員充足ではなく、新入社員の適性と希望を尊重して決定した配属をもとに、なぜこの配属が適切であるのかを丁寧に伝えることでキャリア不安の解消に寄与するだろう。
キャリア意識の高まりとキャリア不安
企業の状況と新たな課題
キャリア不安を払拭する取り組み
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