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2020.12.25

【採用注力事例】経済産業省公表「新卒採用継続企業」とは?

新型コロナウイルス感染症拡大によって、思うように就職活動をできなかったと感じている学生も少なくありません。いま、国や自治体は、さまざまな就職支援を展開しています。経済産業省による「新卒採用継続企業」の公表もその一つ。ここでは「新卒採用継続企業」公表の背景と、公表された各社の特徴について、担当者に伺いました。

【いま、新卒採用に注力する理由】
Vol.8 経済産業省

経済産業省 経済産業政策局 産業人材政策室
室長補佐 橋本 勝 さん

※記事は、2020年12月23日にオンライン取材した内容で掲載しております。

 
 

「新卒採用継続企業」公表の背景とは

 

新型コロナウイルス感染症の影響により、2020年3月以降の企業説明会の延期・中止や一部の企業による採用選考活動の取りやめなど、学生の就職活動への影響が生じています。
 
このような状況を踏まえ、政府は、第二の就職氷河期世代を作らないとの観点から、2020年10月22日、「新卒者等の採用維持・促進に向けた取組」をとりまとめました。そして同月27日、経済団体に対し、2020年度及び2021年度新卒者等について中長期的な視点に立った採用を行うよう、要請しました。あわせて、卒業・修了後少なくとも3年以内の既卒者が、新規卒業・修了予定者の採用枠に応募できるよう対応要請をしています。
 
また、経済産業省は、きめ細かい就職支援を通じて学生の就職につなげていく余地は十分にあるとの認識のもと、新卒者等と地域の魅力ある中堅・中小企業とのマッチングの促進に注力しました。そして、経済産業省の企業選定制度の選定企業にアンケートを実施し、新卒者等の採用を継続中であると回答した企業889社を「新卒採用継続企業」として公表しました。
 

 新卒採用継続企業一覧

 
 

経済産業省が選定する、特色ある企業

 

「新卒採用継続企業」として公表した各社は、4つの企業選定制度―「地域未来牽引企業」「グローバルニッチトップ企業100選」「ダイバーシティ経営企業100選/新・ダイバーシティ経営企業100選」「はばたく中小企業・小規模事業者300社」―に選定されている企業です。複数の制度で選定されている企業も多数あります。そのなかで、新卒者等の採用を続けていると回答した各社を公表しています。
 
4つの選定制度では、制度目的や選考の方法・基準が異なりますが、各制度の基準のもと、外部有識者を交えた審査を経て選定されています。各社とも厳正な審査を経て、今後ますます飛躍が期待できる企業として選定されているので、就職を考えている皆さんにぜひ注目していただきたいと思います。

 

「新卒採用継続企業」公表対象の選定制度のポイント

 
 
4つの企業群の特徴をそれぞれ見ていきましょう。

 
 

日本の地方経済を牽引する、「地域未来牽引(けんいん)企業」

 

地域の経済・雇用をけん引している・けん引していくことが期待される企業が選定されています。具体的には、地域内外の取引実態や雇用・売上高を勘案し、地域経済への影響力が大きく、成長性が見込まれるとともに、地域経済のバリューチェーンの中心的な担い手となり得る事業者が選定されています。選定区分は、「データ部門」「推薦部門」の2つです。「データ部門」では、民間調査会社のデータベースをもとに、都道府県ごとに①売上高、②営業利益、③従業員数、④他の都道府県での販売額、⑤他の都道府県内での仕入れ額が上位の企業が選定されています。「推薦部門」では、地方公共団体や経済団体等、地域の事業活動や経営状況等を把握している各署から推薦された企業が選定されています。なお、いずれの部門も経済産業大臣により選定されるものです。
 
この制度では、財務基盤面が健全で安定していることも選定基準の一つとしています。地域内従業員の雇用者数も見ており、地域の雇用を支えている企業でもあります。まさに地域に根付いた、地域を代表する企業として注目していただけるのではないでしょうか。
 

 地域未来牽引企業の詳細

 

 地域未来牽引企業の事例

 
 

世界のサプライチェーンになくてはならない、「グローバルニッチトップ企業100選」

 

⽇本には、特定の技術・サービスに強みを持ち、高い世界シェアをもつ、世界のサプライチェーンにおいて「なくてはならない」企業が多数存在しています。これらの企業を広く世に知って貰うべく、「グローバルニッチトップ企業100選」が選定されています(経済産業大臣表彰)。2013年度に第1回選定が、2020年に第2回選定が実施されています。グローバルニッチトップ企業は、2020年選定企業の場合、「特定の商品・サービスについて直近3年以内に、大企業では概ね20%以上、中堅企業・中小企業では概ね10%以上の世界シェアを確保した年がある」企業が応募のうえ、有識者で構成される選定評価委員会によって選定されています。評価項目は大きく次の4つの項目からなります。
 

① 収益性:従業員一人当たり売上高、営業利益率、グローバルニッチトップ企業であることと自社の収益性に関係があるか等
 
② 戦略性:製品・サービスの数、納入先企業数、直近3年間の従業員の増加人数、直近3年間の売上高における研究開発費比率、製品・サービスに関係する技術の独自性・唯一性・展開可能性等。
 
③ 競争優位性:世界市場シェアとその将来予測、市場規模とその将来予測、世界市場10%以上のシェアを維持している期間等
 
④ 国際性:海外売上比率、販売国数、海外国別拠点数、海外との取引実績等

 
2020年版「グローバルニッチトップ企業100選」として113社が選定されています。選定企業を分析した結果、単純平均で、世界市場シェア 43.4%、営業利益率 12.7%、海外売上⽐率 45.0%という、業績面や海外展開実績面で際立った企業群であることがわかりました。普段私たちが使う製品・サービス分野以外にも、世界を相手に飛躍している企業がたくさんあるということに、注目していただけるのではないでしょうか。
 

 グローバルニッチトップ企業100選の詳細

 

 グローバルニッチトップ企業100選の事例

 
 

多様な人材が活躍する、「ダイバーシティ経営企業100選/新・ダイバーシティ経営企業100選」

 

ダイバーシティ(多様性)を企業経営に積極的に取り入れている企業が選定されています。
これからの企業経営は、多様な人材の能力を活かし、価値創造につなげていくことが重要です。経営者層への多様な人材の登用、キャリアの多様性の推進、働き方マネジメントの改革等、女性・シニア・外国人活用だけではなく、企業、組織の垣根を超えた人材の活躍を促すために、他社の参考になり得る企業が選定されています。この制度では企業の応募に対して、運営委員会による書類選考とヒアリングを経て選定(経済産業大臣表彰)されています。選定では、次の3つのポイントで評価されています。

 

① 実践性≒ストーリーの一貫性
経営課題の解決に向けて、多様な人材の活躍を経営戦略として位置付けて取り組み、実際にビジネス上の成果を上げている

 
② 革新性・先進性≒モデル性
類似の業種や規模、地域の企業に先駆けた取組を実施し、結果を出していること

 
③ 全社レベルでの取組の浸透度や継続性
経営トップがダイバーシティ推進を強力に主導し続けていることで、ダイバーシティ経営の意義が組織全体に浸透し、継続的に取組が進化していること

 
選定された事例には、女性役員の活用を実践する大企業もあれば、地域で人手不足に悩む建設業が、業界で当然とされてきた変形労働制を廃しスキルアップを支援し、人材定着や雇用促進につなげた企業もあります。まさに、さまざまな人々がさまざまな働き方で活躍できる企業として、注目していただけるのではないでしょうか。
 

 新・ダイバーシティ経営企業100選の詳細

 

 新・ダイバーシティ経営企業100選の事例

 
 

今後の飛躍が期待される、「はばたく中小企業・小規模事業者300社」

 

日本の企業の99.7%は、中小企業(小規模事業者含む)です。日本経済の大半を担う中小企業・小規模事業者の中から、ITサービス導入や経営資源の有効活用等による生産性向上、積極的な海外展開やインバウンド需要の取込み、多様な人材活用や円滑な事業承継等を、独自のアイデアや技術で解決し、成果を出した、全国各地の300社が選定されています。選定にあたっては、中小企業・小規模事業者の経営に詳しい各地の支援機関・経済団体・政府系金融機関等から「生産性向上」、「需要獲得」、「担い手確保」の3つの分野で推薦をいただき、外部有識者によって厳正な審査を経て選定(経済産業大臣表彰)されています。
 
過去に「はばたく中小企業・小規模事業者300社」選定された企業の中には、その後、「地域未来牽引企業」や「グローバルニッチトップ企業100選」に選定された中小企業・小規模事業者も多数存在しています。まさに、今後ますますの飛躍が期待される企業として、注目していただけるのではないでしょうか。
 

 はばたく中小企業・小規模事業者300社の事例

 
 
今回公表した「新卒採用継続企業」では、ここまでご紹介した4つの制度の選定企業から公表していますが、政府・経済産業省としては、他にもさまざまな企業選定・認定制度を運営しています。就職を考える皆さんには、地域の魅力ある中堅・中小企業として今回公表した企業各社にも、ぜひ注目してもらいたいです。

 
 

取材・文/衣笠 可奈子

 

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