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2020.07.22

Vol.9 フォーシーズ株式会社 【新型コロナウイルス感染症に関する企業の取り組み】

新型コロナウイルス感染症の影響で、企業と学生のコミュニケーションの在り方が大きく変化している。対面で行われていた説明会や面接などがオンライン化し、時間的・金銭的な学生の負荷は軽減。一方、「話が伝わっていないのでは?」「面接の評価が低くなるのでは?」といった学生の不安の声も大きい。そこで、すでに学生とのコミュニケーション手法の改革を実践している企業に利点や課題、学生へのメッセージを伺った。

より深く業務を理解してもらうため
営業の仕事を体験する新プログラムを開発

フォーシーズ株式会社
採用担当
水谷真実さん

※記事は、2020年7月16日にオンライン取材した内容で掲載しております。

 

COMPANY PROFILE

「“人が煩わしいと思う事、やりたくないと思う事”を率先して行う事により、人々に喜びを与え、世紀を越えた社会貢献企業であり続けます。」を企業理念に掲げ、入居者、入居企業、不動産オーナー、不動産会社などに対する家賃債務保証業を行う。オフィス、店舗、高級賃貸保証の分野で大きなシェアを誇り、外資系企業の日本進出をサポートする体制も整えている。

 

 

インターンシップのオンライン化の経緯は?

 

当社は例年、学生の皆さんと早期に出会い、フォーシーズという企業を知ってもらうこと、また、家賃債務保証業という、なかなか出合う機会のない業種を知り、視野を広げてもらうことを目的に、1day仕事体験のプログラムを対面で実施してきました。
 
2020年度のプログラムを企画するにあたっては、新型コロナウイルス感染症の流行を受け、オンラインでの開催をすぐに決定。以前より業務でビデオ会議ツール『Google Meet』を使用していましたし、2021年卒学生の採用選考でもオンライン面接を実施していたので、迷うことはありませんでした。
 
議論になったのは、プログラムの内容です。例年の内容をそのままオンラインで実施するのか、内容を刷新するのか、また、個人ワークが適しているのか、グループワークが適しているのかなどが論点として挙がりました。
 
同時に、以前より行っていた「企業や社員の雰囲気を知ってもらうこと」から踏み込んで、「業務理解を深められるプログラム」にトライしたいという思いもあったので、検討の結果、営業の仕事を個人ワークで体験する「営業体験コース」というプログラムを新たに設置。企業理解を深められる「業界研究&フライヤー作成コース」と合わせて2つのコースを準備しました。
 
営業体験コースを個人ワークにしたのは、2つの理由からです。1つ目は、営業を志望する学生は、グループの中で自分の意見を抑えつつ何かを作りあげるというよりは、自分で考えた案を思うままに作り上げてみたいという思いがあるのではないか、ということ。2つ目は、当社の営業が、基本的には個人で1人ひとりのお客さまに真摯に向き合い、寄り添うというスタイルであることです。
 
個人ワークであれば、1点目の「自分の考えを形にする」ことによる達成感を学生は得られるし、2点目の、当社の営業スタイルをそのまま感じてもらうこともできるのではないかと考えました。

 

「営業体験コース」の内容は?

 

4時間×2日間、定員6名のプログラムで、営業の仕事について、一般的な営業と当社の営業についてそれぞれ紹介したのち、「既存顧客との関係をさらに深めるための提案プランを考える」という課題に個人で取り組みます。
 
提案プランを考えるにあたっては、(1)当社の業務や提供サービスをまとめた顧客向けパンフレットや実際に営業が使っている顧客情報資料などの読み込みと分析、(2)顧客役の社員に対する模擬ヒアリング、(3)提案プラン作成、(4)プレゼンテーション、フィードバックの順に進めていきます。
 
実施時間中は『Google Meet』に常時接続とし、課題の時間からは、A班とB班に分け、各班に1人ずつ採用担当がついて進行や質問への対応を行います。また、班を見ている社員に1対1で質問・相談できる時間と会議室も設けていました。当日運営に携わるのは採用担当の社員3名。全員営業経験があるので、実体験をもとにした、営業目線での助言ができるのが運営上の強みでもあります。
 
この内容を、7月に3回、8月に4回、9月にも数回、実施予定です。すでに2回実施し、手応えを感じたので、当初よりも実施予定回数を増やしました。なお、選考は行わず、先着順で定員を満たした時点で申し込みを締め切ります。

 

実施にあたり、工夫されたことは?

 

1点目は、先ほどお話したように、学生を2班に分け、1班につき1人社員をつけたことと、1対1で質問・相談ができる時間を設けたことです。学生1人ひとりに丁寧に対応するため、また、学生が質問しやすいようにとの意図からの工夫です。
 

2点目は、学生一人ひとりへの丁寧なフィードバックです。プレゼンテーション後のフィードバック時間を全体で30分程度とり、プレゼン内容に関してだけでなく、2日間の取り組みからうかがえた、学生1人ひとりの良い点や伸ばしていけるとよいところ、働く上で意識するとよいところなどを1人ずつ丁寧に伝えています。当社のプログラムに参加していただいたからには、何かしら得るものがあったという実感を持ってもらいたいこと、また、自身の強みに気づき、今後の就職活動に生かしてほしいという思いからの工夫です。
 
実際、顧客情報の分析に取り組んでもらうと、個々人の情報の捉え方や思考の仕方によって分析結果に違いが出るので、そこから1人ひとりの物事の捉え方が分かります。また、模擬ヒアリングの際にも、考えていることを適切にアウトプットできるタイプか、そうでないタイプか、といったことが分かる場合があります。そうして、例えば、「自分に対する自信はあまりないけれど、論理的に説明できる力を感じられる」など、その学生の良さや課題を見出し、伝えています。
 
これまでの2回の実施で、こういった個々の学生の強みや人となりを把握するのにオンラインと対面で差はないと感じています。

 

オンラインプログラムを実施して良かったこと・課題は?

 

関東以外の地域に住む学生に出会えたことが一番大きいですね。例年、採用担当のマンパワーなどの都合でインターンシップは関東での実施がほとんどで、参加学生の多くも関東地方在住者でしたが、今回は関西や東海地方からも参加してくれました。
 

課題としては、今のところ大きなものは感じていません。これまでの2回の実施で映像の荒れや接続状況の悪化なども起こりましたが、当初からそれらのトラブルを想定し、プログラム開始時に、何かあった場合はチャット機能を活用して声をあげてほしいこと、オンラインで連絡が取れなくなった場合の連絡先電話番号、パソコンからの接続が難しい状況になった際にはスマートフォンを使用してほしいことなどを伝えていました。
 
加えて、プログラムの進行にかかわる社員とは別に、トラブル発生時に対応する社員が常時1人以上いる体制を組み、例えば、プレゼンテーション資料を映し出せなくなった学生が出ても、即時にメールで送ってもらって採用担当の側で映し出すなど、臨機応変に対応しています。
 
沈黙や待ちの時間ができてしまうといった進行上の課題も感じてはいますが、採用担当の側で身振り手振りを多めに入れる、笑顔を増やす、スムーズな進行を心がけるなど、慣れることで改善していきたいと思っています。

 

学生の皆さんへ

 

インターンシップは、さまざまな企業を知ることのできるとても良い機会です。純粋に、いろんな企業や仕事を知ることができるのは楽しいですし、興味がある業種・企業はもちろん、まったく知らない業種・企業のプログラムにも幅広く挑戦すれば、たくさんの学びを得られ、視野が広がり、やりたいことがより見えてくるのではないかと思います。
 
そうして視野を広げながら、やりたいことを考えることで、この就職活動準備の時期を有意義なものにしてほしいと思います。
 

アテンドする社員含め、全員で自己紹介を行う。

 

営業の業務内容は動画を用いて解説している。

 

顧客役の社員に対する模擬ヒアリングの様子。

 

社員は、学生の質問や相談にも丁寧に対応。

 

最終のプレゼンテーションは、一人ずつ全員に対して行った。

 
 

*インターンシップ参加学生の声*

・営業の仕事について知識をインプットするだけでなく、ワークを通じてアウトプットする機会があり、より理解を深められた。
 
・限りある時間の中で成果を出すことの重要性を学んだ。
 
・社員の方と1対1で話す機会やワークを通じて、フォーシーズの「お客さまをサポートする」という考え方を感じられた。
 
・営業の仕事に対するマイナスイメージを払拭できた。
 
・社員の方がすごく寄り添ってくれて安心した。
 

取材・文/浅田夕香

 

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