- 代表取締役社長
吉原 新一さん
- Great Shape事業部
主任
三瓶 由起子さん
社名(所在地) | グローバルシステムズ株式会社 (東京都港区) |
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会社情報 | ヘルスケア事業 企業、スポーツクラブ、老人ホーム、各種団体の運動・レクリエーション企画・運営、パーソナルトレーニングの導入、インストラクター、トレーナー派遣、高齢者運動プログラム開発、各種研修 |
主な募集職種 | パーソナルトレーナー : スポーツクラブ内でのパーソナルトレーニング。 営業 : スポーツクライブ、高齢者施設への営業 |
従業員規模 | 従業員13名 トレーナー・介護予防運動指導者 169名 |
採用人数 (試職参加) |
5名程度 (20名程度) |
『試職(シショク)』導入の背景
入社前にしっかりと「現場」も「ビジネス」も伝え、ミスマッチを減らしたい。
同社では、体育系の専攻でも、パーソナルトレーナーの仕事や職場を知らない。入社してから不適性を感じる人もいるという課題を感じており、その結果の離職率の高さにも頭を悩ませていた。
また、トレーナーの資格を取っているような学生の場合でも、「資格を取れば、お客様が並んで待っているというようなイメージを持っており、実際にはお客様獲得のプロセスが必要かつ重要であるという大前提(※)を知らず、結果として入社後まで仕事内容を把握できないケースが多かった」 (吉原さん)という課題があった。
そのような現状への対応策として、2012年入社の新卒採用の選考段階から『試職(シショク)』を試験導入。2013年入社のタイミングで本格的な導入をしている。
(※)上記の「大前提」とは、トレーナーのスキルを実際にビジネスにしていくうえで必要な下記のようなこと。
・ 自社のサービスを伝えて、イベント集客を行う。
・ サービスの魅力を伝え、顧客獲得を行う。
・ トレーナーとしての自分の得意分野を作り、それを活かして顧客満足を得ていく。
『試職(シショク)』の内容
「顧客」も「サービスの内容」も「自社の雰囲気」も体験できる2日間。
同社では、新卒採用を下図のようなフローで実施しており、最終面接の前段階の「仕事体験」が『試職(シショク)』にあたる。この「仕事体験」は2日間(計6時間程度)のプログラムで、下記のような内容となっている。
≪1日目≫スポーツクラブで職場体験(3時間程度)
パーソナルトレーナが3名くらい入っている施設(スポーツクラブなど)に、引率のスタッフを1人つけた形で学生に参加してもらい、実際のビジネスの現場を見るとともに顧客獲得の過程を体験できるプログラム。対象施設の選別にあたっては、できるだけ面倒見のいいメンバーがいるところを選んでいる。
当日の取り組みテーマは、3時間の時間の中で100枚のチラシの配布とともに、体験イベント(参加費500円)の予約を獲得(目標3名)すること。 パーソナルトレーナー志望の学生としては職場・仕事内容・お客様の反応などを見ることができ、営業志望の学生にとしては自社のサービス(=商品)を体感することができる。
≪2日目≫事務所でアシスタント業務(2時間程度)、食事会(1時間程度)
社内で、営業提案資料の準備などの手伝いを行う。その業務を通じて職場の雰囲気や、さまざまな従業員との接触もできる。 その後、トレーナー部門の責任者クラスと人事が学生と一緒に食事会に行く時間をとっている。 ※従業員2人:学生2人程度
≪後日≫学生から人事へ、感想文をメールで提出。
『試職(シショク)』導入の成果
『試職(シショク)』の導入成果(メリット)は学生側・企業側ともにあり、
以下のような内容が挙げられる。
学生側
入社後ギャップの解消、事業の魅力の発見、仕事に対する意欲の向上がみられる。
体験後に提出する「感想文」のメールには以下のようなコメントが寄せられており、“入社後ギャップの解消” “事業の魅力の発見”“仕事に対する意欲の向上”がみられる。
- 仕事をするうえで結果を出さないとダメだと感じた。自分に足りないところに気づき、それに対してやる気が出た。
- (声かけ、チラシ配りなどには)苦戦したがいろいろと収穫があった。
- (この仕事が)社会に必要とされている事(=自分も必要とされる)を体感した。
- 体験後に(業務に必要な)資格について調べた。さまざまなお客様のニーズにこたえられるようになりたい。
- 食事会で、上司も社風も良いと感じた。一緒に働きたい。
- 自分の描いていた将来像とマッチしている。
- 仕事を通じてのコミュニケーションの楽しさに気づいた。
また、試職を体験した20人ほどの中で、3~4名は「もっと違う仕事をイメージしていた」といった理由で最終選考を辞退しており、ミスマッチが発生する前に学生自身が判断できるような材料を与える機会になっているともいえる。
企業側
深く個人を知ることができる実感あり。離職率も改善傾向へ。
採用する立場としては、職場体験での学生との接触により、面接以上に深く個人を知ることができる実感を得ている。実例としては以下のような例を聞くことができた。
- チラシ配りのアプローチの仕方や、困難な場合の改善力・工夫する姿勢が見える。
- 積極性や、「予約を取る」というゴールに向かって、どうコミュニケーション(相手のニーズを引き出すヒアリング)をするかが見える。
- 職場体験の場での活躍を見て採用した人は、同期の中でも成長している印象がある。
- (人事以外の現場スタッフとも接触するので)より多面的にその人のことを見ることができる。
- 相性などを互いに判断できている。
また、2日間の時間を拘束することになるので、踏み絵的な意味もあり母集団が絞り込まれるといった効果もあるようだ。
そもそも、課題として挙げていた「離職率」については、本格導入からまだ1年半のため過去との比較は難しいが、同社としては改善している実感を得ている。
事例収集・研究担当の着目点
このケースから言えることは、「スポーツクラブ」で働くことや「パーソナルトレーナー」という仕事のイメージのしにくさを、どう伝え正しく理解してもらうかの工夫していることです。サービスを提供する側の立場と、サービスを受ける側の立場の双方の経験をすることで、「働く意味」や「やりがい」をより深く考え、実感してもらえる効果を上げていると思われます。特に、BtoCのビジネスの場合には、双方の立場から働くことを実感することで、入社後のギャップを解消できるだけではなく、「事業の魅力そのもの」「仕事に対する意欲の向上」を学生に持ってもらうことができるのではないでしょうか。