さまざまな分野で活躍する有名人の方々を直撃インタビュー。
もしも今の仕事をしていなかったら、どんな職業を選んでいたかを想像していただきました。
どんなお話が飛び出すでしょうか。
Vol.16 俳優 佐藤 健さん
俳優として大活躍の佐藤健さん。2021年のゴールデンウイークには、映画『るろうに剣心』最終章の二部作が公開予定です。
そんな佐藤さんが、もしも俳優になっていなかったら、就いていたかもしれない仕事とは?
さとう・たける●1989年、埼玉県生まれ。2008年、『ROOKIES』の岡田優也役で注目を集め、NHK大河ドラマ『龍馬伝』(10年)、『天皇の料理番』(15年)、NHK連続テレビ小説『半分、青い』、『義母と娘のブルース』などに出演。20年1月2日には麦田章役を演じる『義母と娘のブルース 2020年謹賀新年スペシャル』(TBS系)が放送。20年1月期のTBS系火曜ドラマ『恋はつづくよどこまでも』では上白石萌音さんとともにW主演を務め話題となった。おもな主演映画に『るろうに剣心』シリーズ全3部作(12年、14年)、『バクマン。』(15年)、「何者」(15年)、『世界から猫が消えたなら』(16年)、『ひとよ』(19年)など。21年のゴールデンウイークには、主演を務める映画『るろうに剣心』最終章が二部作連続で公開予定。
――佐藤さんが俳優になっていなかったら、どんな仕事に就いていたと思いますか?
考えてみたのですが、本当にわからないんですよね。僕は高校時代、やりたいことがなくて悩んでいたくらいですから。学校で進路希望票を提出するよう言われたりするじゃないですか。そういうときに書けませんでした。数学や物理が好きだったので、大学に行くなら理系かなとなんとなく考えたりはしましたが、やりたい職業はなくて、それは当時の自分の悩みのひとつでもありました。
――高校2年生のときにスカウトされ、俳優としてデビューされたのは、高校3年生のときですよね。俳優の仕事には以前から興味があったんですか?
ドラマや映画を観るのは好きでしたが、「俳優になりたい」と思ったことはありません。ただ、やりたいことが何もなくて退屈な日々を過ごしていただけに、デビューしたころは毎日が新鮮で刺激的でした。地元の埼玉から東京へ仕事に出かけるだけで楽しくて。「やっと希望にめぐりあえた」とまでは言いませんが、そういう感じでした。
デビューしてからも、「俳優としてやっていこうと決意した」みたいな瞬間はないです。ただ、毎日が忙しくて、その日その日を一生懸命やっていたら、いつの間にか、俳優以外の仕事をすることが考えづらい状況になっていたという感じでした。ですから、職業選択においては、自分で意思決定したという感覚が僕にはあまりないんです。環境が僕に俳優として仕事をさせてくれたという側面が大きいですね。だから、俳優になっていなかったら、どんな仕事をしていたかというのはわからないですし、おそれ多くて言えないなと。どうしましょう?
――では、一日体験でやってみるとしたら?
(無言ですぐに答えを書いて)はい。これです。
――猫カフェのバイト(アルバイトスタッフ)! 映画『世界から猫が消えたなら』(2016年)の主演もされていましたね。大の猫好きとうかがったことがあります。
実家では、生まれたときから猫のいる生活。だから、映画『世界から猫が消えたなら』の撮影もいつも楽しみでした。猫と一緒にずっといられる仕事なんて、最高ですね。
<就活生の「つぶやき」コーナー>
就職プロセス調査の回答者から寄せられた「つぶやき」にゲストが何か言ってくれるコーナー。
<佐藤さんチョイスの「つぶやき」>
学校に求められる能力と、社会で求められるスキルには差があると強く感じた。
似てる部分ももちろんあるが、違う部分も多い。(就職プロセス調査 大学院生・理系・男性)
(じっくりと読んで)うん。そうだよね。
その通りだと思います。
――佐藤さんも社会に出て、同じようにお感じになりましたか?
そうですね。学校でも職場でも、自分で環境を作ることが求められるのは共通しているんじゃないかな。生きやすいというか、自分が楽しくやっていける環境をいかに作るかが大事ですよね。
――違いは何でしょう?
そもそも、学校は何かを教わるところなので、何の能力も求められていない気がします。この学生さんが学校で求められると考えているのは、テストの成績とか、学力的なことなのかな。そうだとしたら、学生時代の成績は社会ではまったく関係ないです。
学校と社会で求められる能力の違いを彼がどう感じているのかは、この文章ではわからないけれど、思い悩むことは何もないですよ。就職活動ですでにそのことに自分で気づいているわけですから。
社会で一番大事なのは、自分の頭で考えることなので、すでにそれができているということは、何の問題もありません。もう、大丈夫。十分社会でやっていけると思います。
※本文は2019年取材時の内容で掲載しております
取材・文/泉 彩子 撮影/鈴木慶子
スタイリング/山本隆司 ヘア&メイク/古久保英人