就職みらい研究所の調査では、AIが「面接の合否」を判断することについて、「よいと思わない」と感じる学生が7割(※)を超えていました。しかしAI含め動画を使った面接の実態はよく知られていません。そこで、AI面接や動画での面接を体験した学生に、実際の様子について聞いてみました。
※就職プロセス調査(2019年卒)2月1日時点調査より
機械が相手なので日時を約束しなくてもOK。
いつでも受けられる点がやりやすかった
選考プロセスが面白いという理由で、外資系メーカーに応募したAさん。案の定、インターネットの掲示板に書かれていたようにAI面接を受けることになり、初めての形式に戸惑いながらも、収穫もあったのだとか。いったいどんな面接だったのでしょうか。
受けた企業:外資系メーカー
場所:スマートフォンに動画面接アプリをインストールして、自宅で実施
時間:約1時間
どんな内容でしたか?
ある部署のマネージャーとして、メンバーのまとめ方や管理の仕方、営業戦略といったいくつかの設問(ケース問題)に答える形式。設問動画を見てから10分ほど考えた後に、3分程度で回答の動画を撮影して送るというやり方で、撮り直しできる回数にも制限がありました。出題も回答も、すべて日本語でした。
すべての設問に答え終わると、数分後にフィードバックが英文メールで送られてきて、「あなたは、こういうところが良かったけれど、こういうところはよくなかった」という感じで評価されました。ほぼ同時にもう1つメールが届いて、やはり英語で「残念ながら次のステップには進んでいただくことができません」とありました
やりやすかったですか?
自宅で受けるので、企業に出かけていく必要がない上に、相手が機械なので、日時を約束する必要もないところが、通常の面接や、Skype面接などと違って便利でした。近くでパソコンを開いておけば、いろいろ調べながら考えをまとめることができるのも助かりました。フィードバックをくれるまでの時間が短いことにも驚きました。人間だったら、このスピードではまとまらないのではないかと思います。
ただ、対面での面接であれば、質問の意図がわからなかったときなどにもヒントをもらえるし、同意してくれたりと反応があるのに、AI相手だと、そうした会話のキャッチボールがない点が不安でしたね。自分では伝えたつもりでも、伝わっていなかったことがあるのではないかと思いました。
受けて良かったと思いますか?
「自分の意見は言えているが、根拠に乏しい」といったフィードバックがあり、なかなか鋭くて的を射た指摘だったので、結果こそ残念でしたが、収穫はあったと思います。
また、この企業のAI面接に関しては情報量が限られていたため、海外の就活系の掲示板をのぞいたところ、海外の現地法人でも同じ内容のAI面接を同じ基準で実施していることがわかり、公平に見ているんだなという印象を受けました。
もう一度、受けるとしたらどうしますか?
もっと企業研究をしてから臨みたいです。今回の企業は、取り扱う分野が広い分、きちんとカバーしておくべきだったし、ケース問題は、コンサルティング企業によくある形式なので、練習して慣れておけばよかったと少し悔やんでいます。
これからAI面接を受ける後輩たちへのアドバイスをお願いします
AIが評価しているので、人間相手のとき以上に、簡潔に言うことが大事だと思います。例えば、「結論を先に言う」「短い文章にする」「丁寧な言い回しを使うよりも、わかりやすい言い方にする」といった点に気をつけるとよいのではないかと思います。