当研究所の調査概要
就職みらい研究所とは
2015.07.21

《就職みらい研究所 REPORT》 就職活動と入社後の関係についての研究成果を報告

就職みらい研究所では、「就職活動と入社後の就業に関する調査」より、就職活動と入社後の関係についての研究を進めてまいりました。この度、その研究結果が出ましたので、ご報告いたします。

 

はじめに

 就職みらい研究所は、「働く」の第一歩と言える就職の“今”と“未来”を掴んで広く発信し、「よりよい就職活動」の在り方を探求すべく活動を実施してきました。今回の研究結果は、その「よりよい就職活動」の在り方を明らかにするための取り組み結果のご報告です。

<取り組み1> 「就職活動と入社後の就業に関する調査」

「勤務年数が6年以内の社会人」の方を対象に、「就職活動と入社
後の就業に関する状況」の調査を実施。就職活動と入社後の状態を
把握することに取り組みました。 ※詳細は以下をご参照ください。

> 『就職活動と入社後の就業に関する調査』-若手社会人の入社1年目の状況 概況編- はこちら [PDF DL 539.2K]

 

<取り組み2>「若手社会人の1年目の状況」について、分析結果を発表

上記調査結果から、「若手社会人の1年目の状況」に着目し、「職場・仕事の満足感と
同期と比較した活躍実感」からの分析をいたしました。 ※詳細は以下をご参照ください。

> 『就職活動と入社後の就業に関する調査』-若手社会人の入社1年目の状況 分析編- はこちら [PDF DL 724.8K]

 

<取り組み3>「就職活動が入社後の適応や定着におよぼす影響」を研究

就職活動の充実が、「入社後いきいきと働くことに影響を与えるのではないか」という
仮説のもとに、就職みらい研究所 主任研究員の舛田博之が研究を行い、一旦の研究成果が
まとまりましたのでご報告させていただきます。

こうした“より良い就職”のための研究は今後も続けてまいりますが、このレポートが多くの学生たちの「よりよい就職活動」の一助となることを願っています。

 

研究成果の報告

 本研究では順を追って3つのテーマで研究いたしました。入社前、新人時代、現在と対象範囲を広げながら、最終的には「就職活動の充実」と「入社後の適応・定着」の因果モデルを構築しました。

<研究タイトル>
「充実した就職活動が入社後の適応や定着におよぼす影響」
-就業レディネスの重要性-

 

<研究サマリー>

・就職活動の充実を表す要素として、「就活への満足感」と「就業レディネス=社会人に
 なるための心の準備」を置き、それを用いて入社後の適応との関係を分析。

・分析の結果、「就活への満足感」が高く、「就業レディネス」が整うと、入社後の
 新人時代の適応、さらには、現在の適応との関連が確認された。

 

研究1(入社前): 充実した就職活動とは

「就職活動をどのように受け止め、結果を受け容れたのか」。調査項目の中から、就職活動全体を振り返って、自分自身の自己評価や印象を聞いた10項目に着目し、これらを因子分析により5因子(下図)に整理することで、「就職活動の充実」を表す要素をそのなかに探りました。

 「就活への満足感」は就職活動を充実して終えた状況を、象徴的に表しています。「社会人としての自覚」「自己理解の促進」は就職活動を通して成長した状態であると解釈でき、この2つをまとめて「就業レディネス」と名付けました。これは、就職先へ入社するにあたっての心の準備状態であり、社会人になるための心の準備が整うことを表しています。

研究2以降は、「就活への満足感」と「就業レディネス」を用いて分析を進めていきます。

 

研究2(新人時代):
就職活動の充実と新人時代(入社1年目)の適応との関係を探る

研究1で定義した「就業レディネス=社会人になるための心の準備」が整うと、入社後の新人時代にどのような影響があるのかを分析したところ、組織に対して「適応を促進する行動」につながり、その先の「効力感」「満足度」が高まることが確認されました。また、入社前の「就活への満足度」も、新人時代の「満足度」と関係があることがわかりました。

研究3(現在):
就職活動の充実と現在(入社2~6年目)の適応との関係を探る

下図のように、「就活の振り返り~新人時代~現在」の3つのフェーズにまたがる因果モデルを設定して分析を行ったところ、「就業レディネス=社会人としての心の準備」が整うと、新人時代だけでなく、現在の「適応を行動する行動」「効力感」「満足感」、さらには「離職意思」にも間接的に影響があることがわかりました。

就活を納得して終えて、社会人として心の準備が整ったことは、入社後の働きぶりや適応・定着に長期的にポジティブな影響を与えており、その人の職業人生にとって大切なポイントになることを示唆しています。

今後にむけて

それでは社会人としての心の準備は、どのような経験や学習を通じで形成されるのでしょうか。 現在、「就業レディネス=社会人としての心の準備」の形成に影響をおよぼす具体的な要素を 確認することをテーマに、研究を進めています。今後の研究結果にご期待ください。

 

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