地域を支える基幹産業の一つに、「物流」があります。茨城いすゞ自動車は、その物流の要の一つ、陸送に欠かせないトラックやバスの販売・メンテナンスを行う企業。茨城県内の商用車ディーラーとしてトップクラスの実績を誇り、「地域を代表する会社」を目指し、新卒採用に力を注いでいます。そのような同社が新卒採用に期待するものとは何かを伺いました。
【いま、新卒採用に注力する理由】
Vol.2 茨城いすゞ自動車株式会社
常務取締役 豊﨑 悟さん
経営企画部 松谷 陽香さん
【Company Profile】
1950年設立。茨城県内におけるいすゞ自動車のバスやトラックなどの販売・メンテナンスを行う。平ボディー、ダンプ、トレーラー、冷蔵車、路線バス、高速バスなど、何を運ぶかによって、必要となる車両や装備はさまざま。顧客の要望や課題を解決するために必要な車両提案や日々の運転の安全を守る整備などを通じ、地域経済を支える。
例年通り、年内は引き続き採用を続行。良い出会いに期待
当社の業務は、「物流」に欠かせないトラックやバスの販売・メンテナンスを行うという仕事柄、学生の皆さんには馴染みが薄く仕事のイメージが浮かびにくいかもしれません。
トラックやバスを販売するお客様は、一般消費者を対象とする乗用車のディーラーとは異なり、営業先は物流会社や建設会社などの法人が中心です。何をどのように運ぶかという用途に沿って車両を提案し、作り上げていきます。そのため、納車までに約3カ月、長いときは1~2年かかることもあります。車両に詳しい法人様も多いので、営業においては詳しく説明したり、お客様が話してくださることをきちんと理解したりすることが重要です。
さらに、車両は単に売って終わりではなく、その後のメンテナンスが大切になります。トラックやバスは乗用車に比べ、稼働率(実際に走行している時間の割合)がとても高く、一回当たりの走行距離も長いです。お客様が事業活動を続ける上では、車両が安全に、きちんと稼働し続けなければなりません。だからこそ故障を修理するだけでなく、定期点検を提案したり、異常の兆候をお知らせしたりするなど、継続的なメンテナンスサービスを提供し続けることが重要です。それは営業担当がお客様との会話を通して提供することでもあるし、整備担当が車両を点検する中で提供することでもあります。
最近ではITを活用した異常検知機器などもあります。お客様がどのように機器を導入・活用するかをサポートしたり、私たちがその機器から得られた情報をもとに、お客様にどのような提案をしていくかを考えたりすることが重要になってきています。そういう意味では、整備もお客様との重要な接点を担うため、新卒・中途で入社してきてくれる社員には、文系の学部・学科を卒業した人でも、適性を見ながら整備への配属を打診することもあります。実際、現在当社の社員約390人のうち営業が約40人で、大半が整備の担当者です。
東日本大震災後、物流業界はゆるやかに右肩上がりの成長を続けてきました。当社も、長年のお客様との関係をしっかりつないで着実に成長してきました。しかし、今後社会全体が少子高齢化し、茨城県内での需要は下がっていくことが予想されます。
そのため当社ではこの数年、地域での安全教室の開催や地元プロスポーツクラブへの協賛など、地域貢献活動にも積極的に参加し、お客様にファンになっていただく取り組みに力を注いでいます。社員も9割以上が茨城県の出身者です。将来、子どもや孫が入社したいと思ってもらえるような、誇りとなるような、そんな「地域を代表する会社」を目指しています。
その実現には、やはり「人」が大切です。だからこそ新卒採用には力を入れ、例年、少しでも多くの学生さんとの出会いを求めて卒業前年の年末まで門戸を開いています。2021年卒も同様に、12月いっぱいは採用を継続する予定です。今年は新型コロナウイルス感染症の影響で、説明会や面接などをWebで実施しているのがいつもとは異なりますが、一人ひとりとしっかり向き合い、一緒に茨城いすゞを創っていってくれる想いを抱いてもらえることに期待しています。
自分の思いや考えを、しっかり主張してほしい
長く活躍できるプロサッカー選手は、「主張」と「傾聴」ができる人だと聞いたことがあります。それは、会社で活躍する人材にも当てはまると感じています。
仕事のうえでも、自分なりの「こうなりたい」「これがしたい」という思いがあり、それをしっかり主張することは非常に大切です。学生時代、私は「人生の大部分を費やすことになる仕事、せっかくなら楽しく過ごしたい」と思って就活をしました。すると、仕事を楽しそうにやっている人たちはそれぞれにビジョンを持ち、だからこそ、いきいき働いていると感じました。
一方で、人の意見にも真摯に耳を傾けられることも大事です。年齢に関係なく「できる人だな」と思う人は、自分の考えだけに固執するのではなく、謙虚に話を聴き、良いところを吸収できる人です。社内で活躍している人を見ても、傾聴し、すぐに行動を起こす人が多いように思います。そうやって自分の仕事の中身を「ステップアップ」させていけるのです。
当社では今年から、社員一人ひとりの取り組みを讃える「ステップアップ大賞」(※)を開催することにしました。営業・事務・整備等の業務の別なく全社員に、一人ひとりがこの3年間に「ステップアップ」した経験を自薦してもらったところ、325人の社員からの応募がありました。審査の結果、整備業務をしている社員が初代チャンピオンに輝きました。当社では社員一人ひとりが「主張」と「傾聴」を日々重ねながらステップアップしていくことを認め、感謝し、賞賛していきたいと思っています。
ですから、当社の選考を受けていただく学生の皆さんにも、面接等ではしっかり自分の思いや考えを伝えてほしい。そのために、「なぜ?」を繰り返し質問したりもします。そうする中で具体的になってきた「想い」が、他の企業や業界で実現できそうだと思えたときは、ちゃんとお伝えしてアドバイスさせていただくこともします。
また、主張に対して、あえて違う角度からの考えを提示し、議論をしかけてみることもあります。「主張」と「傾聴」を、面接の場でも発揮してもらいたい。せっかく当社を受けに来てくれたのだから、少しでも、「この会社を受けてよかった」と思ってもらいたいと考えています。もし当社にご入社されなかったとしても、将来的にどこかで仕事でつながることができれば、素晴らしいのではないかと思っています。
「誠実と協和」を大切に。尊敬できる学生との出会いを楽しむ
当社の社訓は「誠実と協和」。「協和」を辞書で引くと、「心を通わせる。心を合わせる」とか「合唱や合奏。異なる楽器が音を合わせ、一つの曲を奏でる」というような意味があります。それはまさに、仕事にも当てはまることです。一人ひとり違う個性が組み合わさって、力を合わせて大きなことを実現していく。
だからこそ、私たちが採用したいと思う学生は、「そんな強い想いで、学生生活を過ごしたんだ。私はあきらめていたな。すごいな」「将来をそのように考えているんだ。すごいな」など、自分とは異なる秀でたものや尊敬できる部分がある人です。そのうえで、目標や目的意識を共有できて、単純に「一緒に働きたい」と思わせてもらえるかどうかです。
だからこそ、面接でも一方的に選考するのではなく、お互いの意見や考えを尊重し、コミュニケーションを大切にしたいと思います。
あなた自身が考える「地域を代表する会社」とはどのようなものでしょうか。ぜひその想いをぶつけてください。多くのファンに支えられる会社を、一緒に創り上げていきましょう!
取材・文/清水 由佳