学校基本調査の「卒業後の状況」データは、新規学卒者の卒業直後の進路を実数把握できる貴重な統計データです。このデータを大まかですが可視的に把握できるようにしてみました。皆様の調査研究、採用・学生支援実務、雇用関連施策立案、新規サービス開発等の足掛かりになれば幸いです。また、卒業後の進路を考えている学生の皆さんに、就職・進学環境を俯瞰的に知るためのエビデンスとして活用していただけると幸いです。
データ集に掲載した内容の一部を抜粋したコラムも順次発信します。ぜひそちらもご覧ください。
トピックス
- 学部の卒業者数は男女差が縮小してきたが、修士課程・博士課程の修了者数は男女差が大きい。学部卒業者の就職者数は男女ほぼ同数になってきている。
- 大学から修士への進学者率はほぼ横ばいで推移。学部から修士課程への進学者率には男女差がある(男性が女性より7~8pt.高い)。修士から博士への進学者率は男女とも2003年度比で約5pt.低下。
- 学部の就職者数を産業別にみると、20年の変化(2023年度就職者数の2003年度比増減)としては、「情報通信業」「学術研究、専門・技術サービス業」「医療、福祉」への就職者増加が著しい。コロナ禍前後の変化(2023年度就職者数の2018年度比増減)としては、男性では社会科学系卒業者の「卸売業、小売業」「金融業、保険業」、工学系卒業者の「製造業」から、「情報通信業」への就職先産業の変化がみられる。女性では、人文科学系卒業者の「卸売業、小売業」「金融業、保険業」、社会科学系卒業者の「金融業、保険業」から、「情報通信業」への就職先産業の変化がみられる。
- 修士の就職者数を産業別にみると、20年の変化としては「情報通信業」「学術研究、専門・技術サービス業」「製造業」の就職者数が大きく増加しているが、「製造業」に限っては、コロナ禍前後では減少に転じている。コロナ禍前後の「製造業」への就職者数の減少は、工学系男性の「製造業」から「情報通信業」への就職先の変化によるところが大きい。
- 修士の就職者数を職業別にみると、「専門的・技術的職業従事者(「専門・技術」)」の就職者数が特に増加している。ただし「専門・技術」のなかでも「(専門・技術)情報処理・通信技術者」は大きく増加しているが、「(専門・技術)教員」は大きく減少している。
- 博士では保健系と保健系以外(グラフでは「保健除く全専攻」と表記)の卒業者数や就職率の推移の差異が大きい。保健系以外の就職者率は、保健系のそれに比べてかなり低い(2023年度:18.0pt.差)。
- 保健系以外の博士の就職者数を職業別にみると、「(専門・技術)研究者」(大学等教育機関の教員以外の、公共・民間等での研究職)の就職者数が増加。僅かだが「(専門・技術)大学・短大・高専教員」の就職者数が減少。
留意点
- データ集の内容はどなたでもご利用ください。データ集記載の留意点をお読みのうえ、【リクルート就職みらい研究所(2025),「学校基本調査データに基づく新規学卒者の卒業・修了時進路決定状況の時系列推移(大学学部、大学院修士課程・博士課程)」】と明記ねがいます。
- その他留意点の詳細及び集計概要は、データ集2~3ページをご確認願います。
お問い合わせ:https://rec.fofa.jp/rcasmk/a.p/115
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