株式会社リクルートキャリア(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:小林 大三)の研究機関・就職みらい研究所(所長:増本 全)は、『就職白書2020』として2020年卒の企業の採用活動および学生の就職活動の実態、2021年卒採用の見通しについてまとめており、就職活動・採用活動のコミュニケーション編として一部を抜粋してご報告申し上げます。
※「就職活動・採用活動の振り返り編」は2月26日に発表しております
※『就職白書2020』の冊子については、4月下旬以降に発行予定です
サマリ―
【現状】
企業は採用難の中でよりよい採用活動を模索している様子がうかがえ、テクノロジーの進展とともにグローバル競争も加速し、日本的雇用慣行を時代に合わせて変えていく必要性も語られています。新卒一括採用は、学生のポテンシャルを重視し社内で育成することが少なくありませんでした。また、求められる仕事内容やスキル、キャリアパスなどの詳細が選考過程で学生に明示されないことも少なくありませんでした。それらを踏まえ、企業と学生の採用選考におけるコミュニケーションの在り方について注目し、学生・企業双方の認識を明らかにしました。
【活動量:学生の活動量は減少。企業が学生1人にかける総面接時間は約60分】
学生の就職活動量を見ると、プレエントリーや個別企業セミナー(対面)など多くの項目で減少しています。就職確定先の入社意欲が高まった情報や企業との接触については「面接など対面での選考」や「個別企業の説明会・セミナー」が上位になりました。(P3)
企業の、学生1人あたりにかける総面接時間を見ると、平均62.7分となっています。(P4)
【内容:学生の「知ることができた情報」と企業の「提供している情報」に差が見られる】
コミュニケーション内容として、学生が就職活動で「知りたいと思っていた情報」「知ることができた情報」の差が大きい項目は、「社内の人間関係」「採用選考の基準」などが上位となりました。一方、企業の「提供している情報」と学生の「知ることができた情報」との差が大きい項目は、「社内研修・自己啓発支援の有無とその内容」「企業・各種団体等が求めている具体的な能力・人物像」などが上位となりました。(P4)
【手法:「ネガティブな情報でも開示してくれた」と捉えている学生は約6割】
採用選考時のコミュニケーションの手法としては、「情報開示」や「疑問や不安解消」という点において、企業と学生の認識に差が見られました。「ネガティブな情報でも、求めれば隠すことなく開示してくれた」と捉えている学生は、59.4%でした。(P5)
【納得度との関係:納得している学生は「自分のために時間や情報を提供してくれた」と捉えている】
入社予定企業等への納得度別に採用選考時のコミュニケーション13項目(「自分のことをよく理解しようとしてくれた」「疑問や不安があれば、解消する場や機会があった」など)について学生の捉え方を点数化。納得している学生と納得していない学生を比較すると、入社予定企業等が「自分のために十分な時間や情報を提供してくれた」と捉えているかで差が見られます。(P7)
【調査概要】
【企業調査】
■大学生・大学院生の採用活動振り返り調査
調査目的:新卒採用に関する企業の活動実態を把握する
調査方法:郵送調査
調査対象:全国の新卒採用を実施している従業員規模5人以上の企業
2020年卒-4853社、2019年卒-8422社、2018年卒-8314社、2017年卒-8501社
調査期間:2020年卒-2019年12月5日~2020年1月14日
2019年卒-2018年12月19日~2019年1月28日
2018年卒-2017年12月18日~2018年1月22日
2017年卒-2016年12月18日~2017年1月25日
回収社数:2020年卒-1256社(回収率25.9%)、2019年卒-1673社(回収率19.9%)
2018年卒-1493社(回収率18.0%)、2017年卒-1637社(回収率19.3%)
※過去の調査データについては、別途聴取していたデータを統合して再集計を行った。
そのため『就職白書2019』以前に掲載したサンプル数、数値とは異なる
【学生調査】
■大学生・大学院生の就職活動振り返り調査
調査目的:就職に関する学生の活動実態を把握する
調査方法:インターネット調査
調査協力:株式会社クロス・マーケティング(2018~2020年卒)、株式会社インテージ(2017年卒)
調査対象:調査協力会社のモニターにスクリーニング調査を行い、民間企業等を対象に就職活動を行った
全国の大学4年生・大学院2年生の男女
調査期間:2020年卒-2019年11月29日~2019年12月16日
2019年卒-2018年12月28日~2019年1月21日
2018年卒-2017年12月15日~2018年1月15日
2017年卒-2016年12月26日~2017年1月17日
集計対象:2020年卒-1904人、2019年卒-2030人、2018年卒-1825人、2017年卒-2295人
≪集計方法について≫
・大学生については、性別、専攻、所属大学の設置主体の構成比が実際の母集団に近づくよう、文部科学省「学校
基本調査」の数値を参照し、ウェイトバック集計を行った。大学生と大学院生を合わせた学生全体については、
大学生と大学院生の構成比に関して、同様のウェイトバック集計を行ったため、大学生と大学院生の合計値が、
学生全体の値と一致しない場合がある。
≪調査結果を見る際の注意点≫
・%を表示する際に小数点第2位で四捨五入しているため、%の合計値や差の数値と計算値が一致しない場合がある。
・図表の一部で、今回調査と過去調査のポイント差をカッコ内に記載した。
例:54.1%(-16.9)の場合、16.9ポイント減少
・データは無回答サンプルを除いて集計している。
・企業は従業員規模の無回答企業があるため、従業員規模別の計と全体は一致しない。
≪その他≫
・2020年卒業や2019年卒業を「2020年卒」「2019年卒」と表記。
・インターンシップは卒年を問わず実施することがあるため、『卒年』ではなく『年度』で表記。