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2014.07.10

『就職白書2014-インターンシップ編-』ポイント解説 【第2回:学生編】――就職みらい研究所 主幹研究員 江田佳子

 就職みらい研究所が、就職・採用活動の振り返りとして調査を実施し年に一度リリースを行っている『就職白書』。

 今回は、今年3月に発表した『就職白書2014』(2014年卒の大学生・大学院生の採用活動振り返り調査)の中から、これから夏にむけて本格化する「インターンシップ」に関する調査発表について解説します。

※ 本調査は、大学生・大学院生を対象に調査を実施しています。詳細はリリース資料内の調査概要をご覧ください。

前回解説した「企業編」に続き、今回は【第2回:学生編】を掲載します。

 

> 『就職白書2014-インターンシップ編-』のリリース資料はこちら [PDF DL 340.4K]

 

<学生動向サマリー>

  • インターンシップ参加学生は増加傾向。
    複数の会社でインターンシップを経験する学生も30%(※1)を超える。

  • インターンシップ参加目的は「仕事理解」「業種理解」が上位となり、
    企業の実施目的と合致する結果に。一方で、参加しない学生は
    「インターンシップの内容に魅力を感じなかった」ケースが多く、
    プログラム内容の充実と広報が企業側の課題に。

  • インターンシップ参加企業に入社予定の学生は16.2%、
    参加業界への入社も合わせると4割以上に。インターンシップ参加が
    業種、職種、仕事、会社理解につながった結果とみられる。

    (※1)インターンシップに参加した学生のうちのシェア

 

学生のインターンシップ参加状況

参加者は前年より6.5ポイント増加。2社以上に参加した学生も3割に上る

「インターンシップへの参加状況」を見ると、2014年卒の学生のうち参加者は23.9%と、2013年卒よりも6.5ポイント増加しました。

 「企業編」でも触れましたが、ここ数年は、官庁や大学、地方自治体などさまざまな方面からインターンシップ実施を後押しする動きがあり、インターンシップ実施企業数(受入数)の拡大傾向が続いています。また学生側も、大学のキャリアセンターからの働きかけや、先輩たちのインターンシップ体験を聞くことで、認知や参加人数が増えているとみられます。

 「インターンシップの参加社数」を見ると、7割近くの学生は「1社への参加」となっていますが、一方で2社以上に参加した学生も3割存在します(平均すると1.64社の参加)。こうした複数の会社でのインターンシップ経験は、自分の将来の進路選択を考える際の視点が得られ、より広い視野でのキャリア形成につながることが期待されます。

「インターンシップの参加期間」は、「3日以上1週間未満」が最も多いという結果になりましたが、次いで多かったのが、「1日」。以前ご紹介した企業編では、「1日開催」と答えた企業は6.4%でしたが、一度の受け入れ人数・参加人数が多いため、このような結果が出ています。

インターンシップ参加目的

「仕事理解」「業種理解」「企業・職場の雰囲気を知る」が上位。
企業の実施目的とも一致する内容に

 「インターンシップへの参加目的」に対する回答は、「仕事理解」「業種理解」「企業・職場の雰囲気を知る」の順で多いという結果になりました。これは、企業側の実施目的で最も多かった「仕事を通じて、学生に自社を含め、業界・仕事の理解を促進させる」と合致しており、企業側、学生側とも、インターンシップは価値のある場になっていると推察されます。また、「内定獲得(採用直結)」は6.6%にとどまる結果となっています。

 一方で、インターンシップに参加しなかった学生の意見は、「インターンシップの内容に魅力を感じなかった」が突出して多いという結果。参加した学生に「インターンシップ先を選ぶ際に重視したこと」を聞いたところ、「業種」が最も多いものの、次いで多かったのが「インターン内容」でした。企業側からすると、より魅力的なインターンシップの内容を企画・運用し、その魅力を広く、具体的に学生にアピールすることが重要と言えそうです。

インターンシップ参加企業への入社予定状況

16.2%が参加企業に入社予定。
同業種への入社組も合わせると、41.7%という数字に

「インターンシップ参加企業への入社予定状況」を聞いたところ、インターンシップ参加学生の16.2%が、参加企業に入社する予定であることがわかりました。インターンシップに参加した学生が全体の23.9%ですので、学生全体からみると3.9%(=23.9%×16.2%)程度ということになります。

また上記の16.2%に、「参加企業ではないが、同業種の企業に入社する予定」の25.5%をあわせると、インターンシップ参加学生の41.7%が、インターンシップに参加した「業種」に就職する予定との結果になりました。

インターンシップと、就職・採用活動はあくまで“別物”ではありますが、業種にこだわってインターンシップ先を選ぶ傾向があるのに加え、インターンシップにより「業種理解」「仕事・職種理解」「会社理解」が進んだことが、このような結果に結びついたと言えるでしょう。

実際、インターンシップを経験した学生に話を聞くと、「業界や仕事のイメージが明確になった」「もともと持っていたイメージが変わった」などの声が数多く聞こえてきます。限られた期間とはいえ、「自分なりに業種、職種、会社のイメージをつかむことができた」ことにより、インターンシップ参加企業や同業界への興味や意欲が高まった結果と言えるのではないでしょうか。

 

就職みらい研究所では、『就職白書』以外においても、インターンシップに関しての調査や取材などを行っています。
今後、さらなる拡大が予測される、インターンシップの実施、ならびに学生の参加。私たちは、インターンシップが学生にとっても企業にとっても、より有意義なものとして発展していくことを目指し、さまざまな情報を発信していきたいと考えています。

※本記事で取り上げた以外のデータも、リリース資料に掲載されています。
興味がある方は、ぜひご覧ください。

 

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