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2015.01.23

IS実施企業「サッポロドラッグストアー」編 ~北海学園大学 GIPより~

今後、一層の拡大が予測されるインターンシップ。導入する企業にとっては、コンテンツの運営やブラッシュアップは今後の課題となりそうです。本記事では、北海学園大学の「GIP(北海学園インターンシッププログラム)」協力企業への取材を実施。本記事では、各社の取り組みや成果についてレポートしていきます。

 

※取材にご協力いただいた、
教育人事部 採用担当マネジャー
佐々木 大将氏(写真右)と
教育人事部 安部 徳行氏(写真左)

 

社名 株式会社サッポロドラッグストアー
会社情報 北海道を中心とした、医薬品・化粧品・食品等販売を行うドラッグストア(144店)
および調剤薬局(10店)などの運営
従業員規模 2306名(2014年10月15日現在)※うちパート社員およびアルバイト1517名

 

同社のインターンシッププログラムの特徴

  • 5年ほど前から少しずつ取り組み始め、北海学園の説明会に参加したのを機に本格的に検討を開始。
  • 全行程を2時間で済ませる「1DAYプログラム」の実施をスタート。
  • 夏休み中に数回行い、各回とも20〜30名を受け入れる。
  • 以前は「地域とのふれあい、地域貢献」を目的に実施していたが、近年は「自社を就職先として認知してもらうこと」を目的に掲げている。そのために、就活への意識付けができるプログラムを用意し、学生へ気付きを提供。
  • 参加学生の多くが就職活動時に会社説明会に出席。また、約3割ほどの学生が実際に応募するに至った。
実施の流れ
1

新卒採用でも活用している、業界や会社について理解するためのDVDを視聴

2

店舗での仕事や、職種について説明する

採用の担当者が、プレゼンテーションソフトを用いて説明。店舗での仕事については、実際に働いている従業員の働く様子について写真を交えてわかりやすく説明していく。あわせて、業界の現状や課題についても伝えていく。

3

店舗内を見学する

「なぜこのような作りになっているのか」など、現場について理解してもらえるよう解説していく。

4

内定者や人事担当のパネルディスカッションに参加

先輩たちがどのような就職活動を行ったか、なぜサッポロドラッグストアーを選んだのかなどについて話を聞く。

 

短い時間の中でも、学生の認知を変えていくことは可能
 初めてインターンシップを導入する際に、1DAYなどの短期間のプログラムから始めるケースが多く見られます。しかし、会社説明に終始してしまうような内容では、学生の満足を得にくい場合もあります。実際学生から「ホームページに書いてあるような事ばかりだった」という不満の声を聞くケースもあります。
このサッポロドラッグストアーのケースでは、プログラムの工夫によって、「漠然と知っていた企業でしたが、詳しく知ることができました。イメージだけで企業を評価してはいけないのだと感じました」、「就職活動を身近に感じることができて、就活に対するモチベーションを高めることができた」などの感想を学生から得ています。
他の学生の感想を見ても「サッポロドラッグに対する認知が変わった」ということが言えそうです。「学生に認知してもらう」という狙いについては、一定の成果が上がったのではないでしょうか。

 

1DAYプログラムの「次の一手」は?
 1DAYプログラムの場合、短時間であるがゆえに、「座学中心」「実務体験なし」となるケースがほとんどでしょう。しかし、学生の成長や、企業・仕事への理解や共感を目的とするのであれば、次の手として考えられるのは実施期間を長くすること。1~2週間の期間で、実務体験や職場見学、実習などを取り入れたプログラムの検討です。同社は、こうしたステップを踏んでいく上での検討課題として、以下のような点を挙げておられました。
  • 実務体験として、店舗に学生を迎え入れる際は、「面倒見のよい先輩がいる店舗」「戦略店舗など気づきが多い店舗」などの条件で選ぶ必要がある。
  • インターンシップの窓口となる人事側と受け入れ先部署(店舗)との報・連・相がしっかり行えるような流れを作り、「学生に何をどう伝えるのか」の意識がそろった状態にする。
  • 学生に任せることになる、品だし・清掃・売り場作りといった、ある種“地味”ともいえる業務について、それをきちんと行うことの「背景」を理解させるプログラムにしたい。(単なるバイトとは違う、本当の意味での仕事理解・興味喚起につなげたい)

 特に、店舗型のビジネスの場合、学生に実務体験をしてもらうには、上記のような課題への取り組みが必要になりそうです。同社の次の一手について、注目していきたいと考えています。

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