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2014.12.24

北海学園大学のGIPに見る 大学におけるインターンシップへの取り組み

近年、インターンシップへの取り組みは大学・企業・学生などさまざまな立場から関心が高まっています。今回は、大学におけるインターンシップの強化・拡大の動きの一例として、北海学園大学の「GIP(北海学園インターンシッププログラム)」をレポートします。

同校では、以前より積極的にインターンシップへの取り組みを行っていますが、2013年から更なる強化のため“GIP”をスタート。プログラムは今後も進化発展していくものですが、現段階の結果や取り組みについてまとめていきます。

 

“GIP”による学生・企業双方の参加数の拡大

実施年度 インターンシップ参加学生数 企業数
協議会ルート(※) 独自ルート 左記計
2011年 37 135 172 42社
2012年 57 133 190 56社
2013年 33 307 340 87社
2014年 44 414 458 106社

※は北海道地域インターンシップ推進協議会からの受け入れ先企業で、インターンシップに参加した学生数。

 上表の通り、同校では以前より北海道地域インターンシップ推進協議会や、大学独自の企業開拓で学生にインターンシップ参加の機会をつくっていました。しかし、より多くの学生にインターンシップによる学習機会をつくり、納得感の持てる就職活動や進路選択が出来ることを目的に、2013年に“GIP”を開始。独自ルートでの参加学生数が倍以上に増え、企業数も大きく増やしてきました。 また、さらに大学経由のインターンシップへの事前エントリーがおよそ630名、ガイダンスへの参加者も500名ほどで学内での注目も高まっています。

 

《GIPの取り組み》
学生・企業双方の参加数、満足度を向上させることを目指して

“GIP”は学生・企業に対し様々な取り組みをしていますが、今回はその中でも学生への「事前・事後教育の徹底」と、企業に対する「協力企業開拓の取り組み」をご紹介していきます。

≪学生への取り組み≫事前・事後教育の徹底

学生向け事前・事後プログラムを充実させ、参加意識や期待感を高め、最終的な教育効果につなげる。 同時に、受け入れ企業の満足度アップも狙う。

 ほとんどの参加学生たちは社会人として本格的に働いたことがなく、まだ就職活動も経験していません。そのままの状態でインターンシップに送り出すのでは、せっかくの機会を活かせないことも考えられます。
そこで、インターンシップ先を選択する前の5~6月の事前教育や、事後の報告会を行うことで最終的な教育効果の向上に取り組んでいます。
こうした教育は同時に、受け入れ企業の満足度を向上させていく効果も狙っています。周辺大学もインターンシップに力を入れ始めた昨今では、限られたインターンシップ受け入れ枠を同校が獲得し続けるためにも重要なことです。
では、それぞれのプログラムの中身を見てきましょう。

 働く未来を考える

学生たちが社会人として活躍する時代に、どういう人材が求められるかを理解するために、2030年の働き方について考えるプログラムを実施。未来について働き方の変化についての情報提供を行い、自分自身の“らしさ”を確認するための、少人数グループでの相互インタビューワークを実施しています。

 働く実際を知る

 「どのように生きていきたいか/どこで、どんな仕事をしたいか」というテーマについて、社会人からリアリティのある話を聞いたり、同じく少人数グループで相互インタビューワークを実施しています。

❶❷でインタビュー形式をとった理由については、自分のことを話すのに躊躇しがちな学生が多い中、安心して自分の考えを話せる場をつくるためです。これらのプログラムを通じて、自分の「強み」「大切にしたい考え方」を表出させ、「自分の価値観」を知ることを目指しています。

 自分を知る

「自己分析適職発見プログラム」などを行い、自己分析を実施。自分自身の強みや弱みを知ることで自分らしさを確認し、インターンシップに参加する際の「目標設定」を行ってもらっています。

 マナー講座

実際に企業で働くための準備として、社会人に求められるマナーについて学習します。

 参加直前ガイダンス

インターンシップへの目的意識を高めるためのプログラムです。事前に用意する「自己紹介シート」「目標設定シート」「企業研究シート」や、参加後に提出する「報告書」の説明を実施。また、参加報告会や終了アンケートの実施を事前に伝えておくことで、より高い意識で参加できるようにしています。

 成果報告会

 インターンシップ参加後に、「インターンシップに参加して何を学ぶことができたか」というテーマでプレゼンテーションやグループワークを行う成果報告会を実施。その場には企業の方の参加も可能で、インターンシップ参加後の学生の成長を見てもらうことや、インターンシップ実施の検討をしている企業には受け入れ学生のイメージを付けてもらえる場にもなっています。

 

プログラムを実施した結果

 インターンシップに参加した学生の満足度が上がり、「業界や企業への理解や知識が増え、視野が広がったと考える学生も増えています」(キャリア支援センター長・佐藤氏)とのこと。終了後アンケートでも、「インターンシップに参加したことで、これまで考えていなかった接客の仕事に興味を持つようになった」(経済学部)といった声が集まりました。
また、キャリア支援センターを利用する学生が増えました。その際のコミュニケーションにも変化が起きており、「学生たちを見ていると、コミュニケーションが大人になったと感じます。また、多くの学生が自分の意見を人前で話すことができるようになったと感じています」(キャリア支援センター長・佐藤氏)とのお話をいただきました。
結果として、就職活動へのモチベーションが向上し、積極的に行動する学生が増加しています。

 

≪企業への取り組み≫協力企業の開拓

インターンシップの受け入れ開始に躊躇する企業の「不安や疑問の解消」に重点を置いて、企業向け説明会や、企業訪問の際のPRなどを実施。

  同校では、企業側の声として「インターンシップを実施したいが業務負荷が高いのでは?」「受け入れ現場との調整が大変なのでは?」「興味はあるがどうやったらいいのか?」といったものがあることを把握。企業開拓を行っていく中で「インターンシップを受け入れる上での不安や疑問の解消」できるような情報提供を徹底して行っています。
2013年度は110社ほどを集めて、企業向けの学内説明会を実施。2014年度は個別企業訪問を行う際にインターンシップへの取り組みをPR。さらに同校からの入社実績があった企業に対して、4月の時点でDMを打つなどの企業の掘り起こしも行っています。
ご説明の際には、「企業側のメリット」「プログラムの作り方」「プログラム事例」などをお伝えし、不安や疑問の解消に重点を置いています。結果、協力企業数を大きく伸ばす結果となっています。

研究担当の着目点

  1. 企業の不安・直面する壁を意識したアプローチを行っている。
  2. 学生がインターンシップを通じて、PDSサイクルを回すことを徹底して行っている。
  3. 非常に大変なマッチング業務を、丁寧にやり抜いている。

北海学園大学の取り組みについて上記の3点に着目してみました。
1つ目の企業開拓は、説明会も個別アプローチも待ちの姿勢ではなく、積極的に企業に働きかけておられます。その中で、多くの企業が直面しがちな不安の解消に努めたことで、参加企業数の拡大という成果にきちんと結び付いたと考えられます。
2つ目は、インターンシップを通じて、社会に出てから必要になるPDSサイクルをしっかりと回していることです。PDSのP(Plan)にあたる事前研修では、ただ教えるだけでなく、学生の「主体性」「積極性」「自立性」につながるような研修プログラムを導入。D(Do)が実際のインターンシップ。さらに、S(See)の報告会や、事前目標の振り返りなどしっかりと行っています。こうした取り組みが、学生・企業ともに満足度向上につながることでしょう。
3つ目はマッチングです。400人以上の学生を送り込むということは、志望業界、受け入れ人数、スケジュールなどさまざまな要因が絡み合うマッチングを一人一人行うということなので、非常に大変な作業になります。それを丁寧に徹底してやり抜いていることが、学生の満足などの結果につながっているのだと考えます。

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■■■■■ 北海学園大学から学生を受け入れた企業のISレポート記事はこちら ■■■■■
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