「2014年7月度 内定状況について」のプレスリリースをいたしましたが、本記事では同調査から見えてきた就職活動状況の様々な実態をレポートしていきます。
<内定状況概況>
7月1日時点の、大学生の就職内定率は71.3%で、前年同月に比べて6.3ポイント高い結果となりました。
上記に伴い、大学生の就職活動実施率(就職志望者のうち)は41.0%で、前年同月と比べて5.0ポイント低くなっています。
今回のレポートでは、「学生の志望企業規模の変化」「文・理系の内定率と、就職活動の継続状況」「内々定・内定の辞退率」についてまとめます。
※詳細は『2014年7月度 内定状況について』の資料をご参照ください。
[資料1] 『2014年6月度 内定状況について』の資料はこちら [PDF DL 877.9K]
[資料2] 『就職活動状況レポート 2014年6月度』の詳細資料はこちら [PDF DL 1131.8K]
今月の注目データ①
※[資料2](PDF)P11のデータより
『7月1日時点で、働くことを最も志望していた企業規模』で、
300人未満企業を選択した学生が47.2%に。
調査実施時点で就職活動を継続している学生に「働くことを最も志望していた企業規模」を聞いています。
- 300人未満企業が、前月比 8.7ポイント増加し、47.2%に。
- 前月と比べ、増加したのは300人未満企業のみという結果となった。
前年同月は48.0%で、ほぼ同水準となっている。
また、下表のとおりその傾向は前年と比してあまり変わらない状況にある。
- 5000人以上企業は、前月比 3.5ポイント減少し、5.7%。
- 景況感などの影響から「学生の大手志向」といった話題を耳にすることがあるが、
7月1日時点では前年を下回る数字となった。
また、3月からの傾向を前年と比べてみても、大きな違いは見られれなかった。
今月の注目データ②
※[資料1](PDF)P5・8のデータより
内定率は例年通り理系が高い結果に。
理系学生には「内定後・就活継続」の傾向あり。
調査実施時に、「内々定・内定の有無」と「現在就職活動をしているか」を聞いています。
その結果を文・理系に分けてみました。
- 文系内定率は69.0%(前年同月比 6.9ポイントアップ)
理系内定率は76.4%(前年同月比 4.9ポイントアップ) - 文理ともに前年より高い内定率となっているが、理系が高い傾向は例年通り。
- 文系の就職活動実施率は43.2%で前年同月より7.3ポイント低い。理系は36.1%で前年より0.4ポイント高く、
前年に比べ「内定後・就活継続」の傾向。 - 理系の内定率は前年同月比4.9ポイント高かったが、就職活動実施率は前年より
高くなりました。Point③でさらの詳細を見ていきます。
- 就職活動実施者のうちの「内定保有者」の割合は、
文系36.2%、理系46.5%で、
理系学生はより「内定後・就活継続」の傾向。 - 2014年卒調査では文系・理系に顕著な差は認められなかったが、2015年卒調査では
理系の「内定後・就活継続」の傾向が見てとれます。この背景を把握すべく、
「7月1日時点で内定を取得しており、就職活動を継続している理系学生」の
コメントを抜粋してみます。
【7月1日時点で内定取得しているが、就職活動を継続している理系学生】のコメント抜粋
- 自分のやりたい仕事は本当にこれでいいのか、未だに悩む。やりたいことが一生続けられるようなものなのか、また将来設計についても考えるようになった。
- 公務員試験に合格できるか不安。
- 民間企業の就活での反省点を公務員での就活に活かせている。自己分析と経験に基づく志望理由を固めることが何より重要であると感じている。
- 内定をもらっているが、給料と勤務時間に不満があるので、やむを得ず就職活動を継続している。民間志望から公務員志望に乗り換えたので、試験対策ができていない。
今月の注目データ③
※[資料1](PDF)P4のデータより
学生が取得した内々定・内定の、約44.3%を辞退している。
「7月1日までに内々定・内定を取得した件数」と、「7月1日時点で保有している内定の件数」を聞いており、その結果から、以下の数値を算出してみました。
- 学生が取得した内々定・内定のうち
約44.3%をすでに辞退している。 - 下表のとおり、内々定・内定取得者は今までに平均1.94件の内々定・内定を取得して
いるが、現在は、辞退をした結果1.08件の内々定・内定を保有している。
この結果から約44.3%(=0.86件÷1.94件)を辞退していると考えられる。2014年卒調査と比較してみると、内々定・内定の取得数は0.02件減、7月1日時点に持って
いる数は0.06件増。結果、辞退された内々定・内定の率は41.8%→44.3%と2.5ポイント
高くなっている。内定率は前年に比べ6.3ポイント高くなっているので、辞退総数は増加し
ていると考えられる。
今月の注目コメント
今回の調査内で「卒業後の進路や就職活動などについて感じていること、考えていること」についてフリーコメントをいただいています。
2000件以上のコメントの中から、一部を抜粋してご紹介します。
<進学や公務員試験との両立>
- 大学院に受かるかどうかが不安です。
- 公務員志望だと就活が長引くのでモチベーションを保つのが難しい。
<就活の継続にはお金がかかる!>
- 県外に就職するつもりが、金銭的に難しくなった。
- 就活が長引くほど、金銭的な面や精神的な面で負担が大きくなっていることを実感しています。
<学業との両立>
- もうそろそろ就職活動をやめて、卒業研究をしたいと思うようになりました。
- 大学院に進学する事を考えていたが、学費や試験があるため就職活動と並行しながら対策を行うことは無理だと考え、諦めた。
- 就活を続けるつもりだったが、既に内定があり、卒論が忙しくなったため終了した。
※[資料2](PDF)にはもっと多くのコメントを紹介しています。ぜひご覧ください。
<編集後記>
「就職活動状況レポート」をお読みいただきありがとうございます。まだ2回目のレポートですが、皆様の参考になる情報をお出しできればと試行錯誤をしながら進んでいます。ご意見・リクエストなどありましたらぜひお聞かせください。
7月のこの時期、精力的に就職活動を行っている学生の方々から、「スーツが暑い」などをはじめ、夏の暑さに対しての声も寄せられています。この時期に就職活動を行っていた先輩たちは、「替えのシャツを用意」「休息できる場所を見つけておく」などをされていたようです。また、夏バテ対策などの体調管理も大事になります。見方を変えると、「行動力・計画性・体調管理やリスクの予測」といった社会人として必要なことの予行演習と考えることもできそうです。暑い中の活動は大変ですが、納得して自分の進路を決めることができるよう頑張ってほしいと思っています。(徳永)