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2020.06.05

志望動機、何を話せばいいの? -前編-

事例・データでひも解く 就職活動の不安やギモン Vol.2

就職活動や就職に関するさまざまな情報が飛び交うなか、学生さんの本当の不安や悩み、ギモンは何でしょう? 学生さんとお話をしながら、一緒に考えてみました。事例やデータから見える事実もぜひチェックしてみましょう。

 
【お話してくれたのは…】

【一緒に考えたのは…】


 

企業が発信している情報を深掘りし、自分が興味を持ったことを伝えることが大事

 
Aさん:Webだけで選考が進んだ企業の面接では、志望動機を聞かれると、どんなことを話せばいいのか困ってしまいます。ほかの学生と同じようなことしか言えなさそうで…。
 
増本:なるほど。ちなみに、志望動機を話しやすかったと感じたのはどんな企業でしたか?
 
Aさん:Web上の面談でしたが、社員の方から直接お話を聞けた企業では、その後、志望動機を考えやすくなりました。
 
増本:企業の社員の生の声が聞けると、事業内容への理解が深まって、自分自身の確認したいこともでき、働き方もイメージしやすくなりますからね。
 
Aさん:ただ、社員の方に直接話を聞ける機会は少なくなってしまいました。OB・OG訪問も今は難しいし。
 
増本:たしかに企業と対話できる接点は減っていますよね。一方、企業はいろんな方法で学生さんに発信しています。Aさんは、企業が発信している情報をどうやって見ていますか?
 
Aさん:その企業のサイトや就職情報サイトは、必ず見るようにしています。
 
増本:いいですね。就職情報サイトや企業の採用ページの情報は、企業が学生に知ってほしいと思っている最低限の情報です。それらのサイトを見るときは、「企業は、学生に何を知ってほしいのか?」を意識してみてください。それが志望動機にもつながります。
 
Aさん:それってどういうことですか?
 
増本:志望動機から、学生の自社への熱意や意欲を見ている企業が多いからなんです。

 

 
増本:企業が採用基準として重視している項目は、「人柄」が1位、「自社への熱意」が2位。企業が学生に志望動機を聞くのは、自社に対する熱意や意欲を知りたいからなんです。
 
飯塚:7割以上の企業が、学生の熱意を重視しているんですね。
 
増本:それに対して、学生たち、つまりAさんの先輩たちのうち、「その企業への熱意」をアピールした人は、2割弱に留まっています。
 
飯塚:企業がこれほど重視しているのに、学生の皆さんがアピールしきれていないのは、もったいないですね。
 
増本:では企業はどうやって自社への熱意・意欲を見ているかというと…「自社のことをどれだけ知ろうとし、どれくらい興味や関心を持ってくれたか?」なんです。深く知ろうとする行動やそこから「なぜ選んだのか?」を自分自身の言葉で語ることが、その会社や仕事に対しての熱意・意欲を伝えることにつながります。
 
Aさん:そうなんですね。
 
増本:なかには、就職情報サイトや企業の採用ページを見たうえでもう一歩、踏み込んだ情報を得ようとしている学生もいます。
 
Aさん:例えばどんなことをしているんですか?
 
増本:例えばWebで企業名を検索すると、その企業が手掛けている事業に関するニュースが見つかることもあります。学生向けの情報以外に、株主向けに発信しているIR情報(投資家向け情報)や中長期の事業計画、関連書籍や論文などからも、企業の特徴や優位性、文化風土などを掴み取ることができます。
 
Aさん:いろいろあるんですね。
 
増本:たくさんある中で、できそうなことから始めればいいんです。企業研究を「企業のことをいろんな情報からを深堀りすること」と捉えてみてください。知らないことをやりたいと思う人はいませんよね。企業研究を進め理解が深まることで、「やってみたい!」という熱意や意欲につながり、志望動機を補強することになります。
 
Aさん:そう考えると、貪欲に情報を取りに行こうという姿勢が自分には欠けていたかもしれません。

 
飯塚:企業の事を深く知れると、Aさん自身の言葉でその企業への熱意や意欲を伝えられるようになって、自然と志望動機が差別化できるようになりそうですよね。
 
Aさん:そういうふうに考えるといいんですね。企業情報を深掘りする意味が分かりました。

 

 
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取材・文/日笠由紀

 

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