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就職みらい研究所とは
2021.02.16

就職白書2021

株式会社リクルートキャリア(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:佐藤 学)の研究機関・就職みらい研究所(所長:増本 全)は、『就職白書2021』として2021年卒の企業の採用活動および学生の就職活動の実態、2022年卒採用の見通しについてまとめましたのでご報告申し上げます。

※『就職白書2021』の冊子については、4月以降に発行予定です

 

サマリ―

【2021年卒:企業】採用難から一転、採用充足の割合が増加。採用活動のオンライン化も影響

2021年卒における企業の採用活動は、採用数の計画に対して充足した企業が、前年と比べ増加しました。また、採用予定数を100としたときの内定人数は96.8となり、2020年卒の89.5と比べ採用計画に対して充足している様子が見受けられます。これは、企業の動きだけでなく、学生が新型コロナウイルス禍において不安を感じ、活動量を例年と比べて増やしたことも理由として考えられます。新型コロナウイルス禍で注目されたオンラインの活用ですが、Web面接の実施有無で充足度に差があり、Web面接での選考が特に進んでいる関東や従業員5000人以上の企業で充足度が高いことが分かりました。

 

【2021年卒:学生】不透明で不安な環境下において学生の活動量が増加。進路確定率は前年並みに

学生の進路確定率は前年並みですが、進路が決まっていない学生も若干増え、新型コロナウイルス禍の影響が見受けられます。しかし、入社予定企業等への納得度は微増となりました。就職活動の各プロセスにおいてオンライン形式の活動を中心に行動量が増え、新型コロナウイルス禍で先行きが不透明な中でも学生が懸命に活動した様子が見えます。選考プロセスにおける対面・Webの意向については、説明会はWebを希望し、面接や内定後の面談は対面を希望する学生が多くなっています。学生、企業ともにWebを通じたコミュニケーションでは、人物や組織風土、雰囲気などが十分に伝わりきらないように感じられることを課題と捉えており、単純に活動プロセスをWeb化するだけでなく、いかに伝わるように伝えるかに工夫の余地があるでしょう。

 

【2022年卒:企業】採用予定数は前年同水準。採用スケジュールはオンライン化で前倒しに

2022年卒採用の見通しは、採用スケジュールを決められていない企業が多いことが特徴です。また、採用プロセスの開始時期を見ると、対面面接では3社に1社が未定となっています。しかし、開始時期を決定している企業を見ると、採用活動のWeb化が進展したこともあり、前年新型コロナウイルス禍によって後ろ倒しされたスケジュールよりも早く選考が進むことが予想されます。採用予定数については、全体では前年から大きな変化はありませんが、2021年卒で採用予定数5~9人以下だった企業で微増し、50人以上では微減しています。採用基準については、大手企業を中心に2021年卒より少し厳しくする傾向が見られます。

 

【より良い個人と組織のマッチングに向けて】重要なのは学生・企業の十分なコミュニケーション

『就職白書2020』に引き続き、企業が採用活動で提供する情報と学生が就職活動で知ることができた情報には差が見られ、相互理解には課題があるといえます。しかし、入社予定者に満足している企業は、企業内での採用設計や戦略が練られており、学生への情報開示が進んでいることが分かりました。自社が求める(自社で身につく)能力や仕事内容、文化などを適切に把握・言語化し、学生にとってリアリティのある情報を伝えていくことが採用上のコミュニケーションにおいて重要であるといえます。

 

【調査概要】

<企業調査>

■大学生・大学院生の採用活動振り返り調査

 調査目的:新卒採用に関する企業の活動実態を把握する

 調査方法:郵送調査(2021年卒はWeb調査を含む)

 調査対象:全国の新卒採用を実施している従業員規模5人以上の企業

      2021年卒-4577社、 2020年卒-4853社、2019年卒-8422社

 調査期間:2021年卒-2020年12月4日~2021年1月13日

      2020年卒-2019年12月5日~2020年1月14日

      2019年卒-2018年12月19日~2019年1月28日

 回収社数:2021年卒-1398社(回収率30.5%)

      2020年卒-1256社(回収率25.9%)

      2019年卒-1673社(回収率19.9%)

 ※『就職白書2020』で2019年卒以前の調査データについて、別途聴取していたデータを統合して再集計を行った。そのため2019年卒データは『就職白書2019』にて掲載したサンプル数、数値とは異なる

<学生調査>

■大学生・大学院生の就職活動振り返り調査

 調査目的:就職に関する学生の活動実態を把握する

 調査方法:インターネット調査

 調査協力:株式会社クロス・マーケティング(2019~2021年卒)

 調査対象:調査協力会社のモニターにスクリーニング調査を行い、民間企業等を対象に就職活動を行った

      全国の大学4年生・大学院2年生の男女

 調査期間:2021年卒-2020年11月20日~2020年12月15日

      2020年卒-2019年11月29日~2019年12月16日

      2019年卒-2018年12月28日~2019年1月21日

 集計対象:2021年卒-2111人、2020年卒-1904人、2019年卒-2030人

■就職活動状況調査2021年卒(2020年5月調査)

 調査目的:就職に関する学生の活動実態を把握する

 調査方法:インターネット調査

 調査協力:株式会社マクロミル

 調査対象:『リクナビ2021』会員における2021年3月卒業予定の大学4年生・大学院2年生

 調査期間:2020年4月30日~2020年5月8日

 集計対象:5887人

≪集計方法について≫

・大学生については、性別、専攻、所属大学の設置主体の構成比が実際の母集団に近づくよう、文部科学省「学校基本調査」の数値を参照し、ウェイトバック集計を行った。大学生と大学院生を合わせた学生全体については、大学生と大学院生の構成比に関して、同様のウェイトバック集計を行ったため、大学生と大学院生の合計値が、学生全体の値と一致しない場合がある。

≪調査結果を見る際の注意点≫

・%を表示する際に小数点第2位で四捨五入しているため、%の合計値や差の数値と計算値が一致しない場合がある。

・図表の一部で、今回調査と過去調査のポイント差をカッコ内に記載した。

 例:40.9(1.8)の場合、1.8ポイント増加

・データは無回答サンプルを除いて集計している。

・サンプル数50未満の集計値は参考値として取り扱う。

・企業は従業員規模の無回答企業があるため、従業員規模別の計と全体は一致しない。

・無回答項目はグラフ・数表内で「-」と表記。

・2021年卒業や2020年卒業を「2021年卒」「2020年卒」と表記。

・「インターンシップ」という表記は1日以内の仕事体験型プログラムを含めて使用している。

 

 

 

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